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「東京で使う水素」を京浜島でつくる

都内で使うグリーン水素を製造する、京浜島の施設

都内で使うグリーン水素を製造する、京浜島の施設。

京 浜島グリーン水素
製造所を訪ねて

京浜島グリーン水素製造所 京浜島グリーン水素製造所

大田区京浜島の工場が立ち並ぶ一角に、「東京都京浜島グリーン水素製造所」があります。
令和7年10月に開所したこの施設では、再生可能エネルギー由来の電気と水から「グリーン水素」を製造しています。
どのように水素はつくられ、利用先へ届けられるのか。その仕組みや工夫を取材しました。

東 京の土地に合わせて、
設備をコンパクトに

限られた敷地に設置できるよう、必要な設備をまとめた水電解装置 限られた敷地に設置できるよう、必要な設備をまとめた水電解装置。

施設を整備するうえで課題となったのが、十分な広さの土地の確保です。東京では、水素を製造するための広い敷地を確保することが容易ではありません。

そこで都は、水素製造の研究開発を進めてきた山梨県と共同で、省スペースの製造システムを開発しました。通常は地面に並べる設備を上部に配置するなどして、水電解装置の設置面積を従来の3分の2に抑えています。小さな装置を選んだのではなく、東京で水素をつくるために、設備の配置から工夫しました。

水素の製造に使うのは、主に山梨県の水力発電所でつくられた電力です。再生可能エネルギー由来の電気を使って水を分解し、1時間あたり、現在市販されている燃料電池自動車約2台分のグリーン水素をつくり出しています。

水 を分解し、
水素の純度を高める

製造工程は、水道水からミネラルや有機物を取り除くところから始まります。そのきれいにした水に電気を流すと、水素と酸素に分かれます。この反応は、水電解装置の中に並ぶ「セル」と呼ばれる部品で起きています。

ただし、できた水素には、わずかに酸素や水分が含まれているため、脱酸素塔・ドライヤーユニットでこれらを取り除き、純度を高めます。高い水素純度が求められる燃料電池や金属熱処理、ガラス製造、化学・油脂加工などでも使える品質にするための工程です。

水素に残った酸素と水分を取り除く設備 水素に残った酸素と水分を取り除く設備。ここで純度を高めたのち、水素ホルダーを通して圧縮機に送られます。

次に、水素を圧縮します。水素は地球で一番軽い気体であるため、そのままではかさばり、一度に大量の水素を運ぶことができません。そのため、指先に約200kgのお相撲さんが乗るのと同じくらいの強い圧力をかけ、およそ200分の1の小さな体積にすることで運びやすくしています。施設内には、こうした製造から精製、圧縮、容器への充填、出荷までに必要な設備がそろっています。

常温常圧ではかさばる水素を圧縮する設備 常温常圧ではかさばる水素を圧縮する設備。

大 量の輸送にも、
少量の利用にも対応

出荷エリアには、水素を運べる量が多い順に、トレーラー、カードル、ボンベといった容器が用意されています。カードルはボンベをたくさん束ねることで、多くの水素を運ぶことができるようになっています。さらに、トレーラーは車両の荷台に大きなボンベをたくさん束ねて固定して、燃料電池自動車約50台分の水素を運ぶことができるようになっています。

これらを使い分ける理由は、利用先によって必要な水素の量が異なるからです。水素ステーションなど水素を大量に必要とする場合はトレーラーで、企業や大学での小規模な試験・研究にはボンベで届けるなど、用途に合わせて出荷できます。
また、製造した水素は、カードルで東京ビッグサイトに設置された燃料電池にも供給されており、東京ビッグサイトで使用される電力の一部がこの水素で作られています。
都内でつくった水素を都内で使う「地産地消」が、すでに始まっています。

圧縮水素トレーラー
カードル
水素を運ぶトレーラーとカードル。利用先で必要な量に合わせて使い分けます。

グ リーン水素の
活用促進に向けて

東京都は、今後増大が見込まれる水素需要に対応するため、その需要地である都内での水素の地産を行う取組として、グリーン水素の製造拠点を整備し、都内企業における水素の製造や利用の検討を促しています。

令和9年度には、水素製造量を現在の3倍に増やす予定です。また、令和10年度には東京湾の中央防波堤埋立地において、国内初の取組として、敷地内の太陽光電力のみを活用して水素を製造する大規模なグリーン水素製造施設が稼働する予定です。

一方で、水素を広く使ってもらうには、製造や輸送にかかるコストの課題もあります。また、水素を製造する設備を整えるとともに、水素を使う場所を増やすことも欠かせません。京浜島グリーン水素製造所には、水素関連の企業にとどまらず、同様の取組を検討する自治体なども見学に訪れており、水素利用の輪を広げています。

この施設で製造から輸送までを検証しながら、幅広い企業に水素の活用を働きかけ、脱炭素社会の実現に向けて重要となるグリーン水素の地産地消および活用促進を進めています。

東京都 京浜島グリーン水素製造所ホームページ
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